警察庁は18日、全国の警察の刑事部門の捜査担当課長らを集めた会議を東京都内で開いた。露木康浩長官は訓示で、安倍晋三元首相への銃撃事件の教訓をふまえ、「安易な前例踏襲の恐ろしさは警備部門だけの問題でなく刑事部門でも当てはまる」と指摘。深刻な状況が続く特殊詐欺やサイバー犯罪などに強力に取り組むよう指示した。
「準暴力団」メンバー、池袋で乱闘騒ぎ
露木長官は、刑法犯認知件数が昨年まで19年連続で減少しているものの、匿名で使える通信手段を用いた特殊詐欺やサイバー犯罪は高水準で推移していると指摘。「社会情勢の変化に対し警察が後追いとなり、『警戒の空白』が生じることは治安維持上、許されない」と訴えた。
特殊詐欺では、収益を風俗店などの資金源としてマネーロンダリング(資金洗浄)したとみられる事案も明らかになったと指摘。「風俗や薬物事犯などあらゆる法令を駆使した取り締まりで犯罪グループに実質的な打撃を与える抜本的な取り組みを強力に推進してほしい」と、踏み込んだ指示を出した。
また、暴力団のように明確な組織性はないものの常習的に違法行為を起こす「準暴力団」について「対策は極めて重要だ」と指摘し、情報収集や戦略的な取り締まりを徹底するよう求めた。準暴力団をめぐっては、今月16日に東京・池袋の「サンシャイン60」の飲食店で、「チャイニーズドラゴン」のメンバーらが殴り合いなどの乱闘を起こす騒ぎがあった。
この日の会議には、警察庁の幹部と、都道府県警の刑事部や組織犯罪対策部門の課長ら合わせて約320人が出席した。コロナ禍のため、2020年、21年はオンラインで開催しており、集まる形は19年9月以来3年ぶりという。(編集委員・吉田伸八)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル